ゆかいの妄想日記 イラスト

「ゆかいな妄想日記」は、YOUNiiiiQの編集者・伊藤愉快が月1回、
「福島にないもの」をテーマにこんなことしたら楽しいな、こんな場所あったらおもしろいな、
なんてことを無責任に妄想して口にする妄想コラムです。

第2話 近所の銭湯

あつい、アツイ、暑い・・・
梅雨も明けて、より一層暑さに参ってしまう時期になってきた。今年も夏が来たね

こんな頭がおかしくなりそうなくらい暑くて、尋常じゃないないくらい汗をかいた日には
「銭湯で汗を流して、お風呂あがりに冷たいフルーツ牛乳を飲みながら涼まないと。この後の仕事も明日も頑張れないよ」
と炎天下にさらされながら考える午後2時。

(心の声)
ぼくの家の近所に銭湯はない。
現在、福島市内には北町にある「つるの湯」という銭湯1軒しか残っていない。昔は市内にも多数銭湯があったらしい。
では、なぜこのような話をしているかって?それは、このコラムはすべてぼくの妄想の中でつくられているからだ。
つまり、現実のぼくはこの後の仕事も明日も頑張れない(嘘です頑張りましたよ)

気が付けば、時刻は18時を回っていた。空は夕日で真っ赤に染まり、日中は日差しが眩し過ぎて直視できなかった空もマジックアワーでつい見とれてしまうほど綺麗な空になっていた。

急いで家に帰り、半袖海パンに着替えて、ボディソープ・シャンプー・洗顔が入ったカゴと大きいバスタオル、体を洗う用の手ぬぐいの入った袋を手に取り、サンダルに履き替えて銭湯へと向かう。

徒歩5分。馴染みの暖簾をくぐるといつも番頭のおばあちゃんが待ってくれている。おばあちゃんの顔をみるとなんだか「帰ってきた」と安心した気持ちになれる。

450円を渡して風呂場に向かおうとする。その時、「あ。ボディソープを切らしているんだった」と思い出す。仕方ない、と諦めて40円を追加でおばあちゃんに渡して使い切りのボディソープを貰う。

仕事終わりに真っすぐきたからか?いつもより人が少ない。今頃、皆は夕ご飯を食べているのだろうな。

服を脱ぎ、いつもの流れで体重計に乗っかる(ヤバい。太った。最近飲み過ぎかな・・・)と落ち込みながらケロリンの桶と風呂椅子を手に取って洗い場に向かう。

固定のシャワーをいつもの角度にセッティングし、蛇口を捻る。(この時、鏡に貼っているシール(広告)の地元企業の社長と毎回目が合う。「お疲れ様でした」と心の中で笑いながら言っている(笑))

いつもの少し熱いお湯が1日の汗と疲れを流してくれる。顔を洗って、髪を洗って、体を洗って、さあ湯船に。

湯船は2つ。(種類でいうと3つ?)まずは、少しぬるい方から入ることにしている。その後、43度の心地よい温度の湯船に浸かる。

家族連れで来ている子どもの声、サラリーマンやおじいちゃんが湯船に浸かる時の野太い声(笑)、隣の女湯から「お父さーん、そろそろ上がるよ~!」と聞こるお母さん声、全部が心地良いBGMに聞こえて、耳から耳へと抜けていくと頭の中は空っぽになってくる

そろそろ体も温まってきたな~、上がろうかと思うタイミングでいつも思い出したかのように向かうのが種類でいうと3つと話していた「電気風呂」に入っていないことを思い出す。少しぬるい湯船の奥にある。

正直、電気風呂の良さはまだわからないのだけど、なぜか帰り際に毎度入ってしまう。今回も「あ、ビリビリきてる・・・」とよくわからない体感をしてから湯船を上がる。

最後に、シャワーで体を流してタオルで体を拭いてから脱衣所へと向かう。

とりあえず、体を拭いてパンツを履く。体はポカポカすぎてすぐに服を着ることはできず、扇風機の前に行って、よくわからん絵が描いてある団扇を扇いで涼む。

そろそろか~と重い腰を上げて10円玉を2枚ドライヤーに入れる。3分ってギリ、半渇きで終わるんだよなって思いながらも追加で20円払うことに渋り脱衣所を出る。

番頭のおばあちゃんに「いい湯でした~」と言いながら140円を渡す。フルーツ牛乳を購入。冷蔵庫から自分で取り出して一気に飲み干す。

最後に「おやすみなさい」と言いながら店を後にする。

馴染みの暖簾を潜り抜けると、空はもう真っ暗になっていた。
日中が熱すぎたせいか、少しぬるい風ですら肌にあたると心地よく感じる。

ひとつ背伸びをして、「明日も頑張るか」と心の中で呟く。

第3話に続く。

あとがき

第2話を読んで、わかって(共感)してくれた人はどのくらいいるだろうか?ぼくの同世代でも、幼少期に銭湯に行っていたという人は多くないと思う。

ケロリンの桶、固定されたシャワー(温度調節も)、シャンプーもボディソープ置かれていない、鏡には地元企業の広告シール、ドライヤーは3分20円。え、知らん?

最近の銭湯しか知らない人からしたら、なんて不便なんだって思うかもしれないけど。まってよ、これって「SDGs」じゃない?
昔の人は、SDGsなんて言葉使わずとしてやっていたんだな・・・

銭湯って学べることが多い気がする。幅広い年代が集まって、共同の場としてルールやマナーを幼少期に学ぶ。大事だよな

まぁ、今回の妄想でなにを考えていたかと言いますとね。銭湯は必要だなーってことと、森合に銭湯がほしいなー♨ってこと
(銭湯の横には駄菓子屋もあるといいな、ちびっこが喜ぶよね・・・夏はかき氷もやってほしいな~たこ焼きとアイスクリームは年中でよろしくお願いします)

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伊藤愉快

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すづ

2003年生まれ。会津若松市出身。
地元で漆芸を学んだ後、個人でイラスト制作の活動をしながら
ものづくりに携わるお仕事をしています。

@zuuus__