ゆかいの妄想日記 イラスト

「ゆかいな妄想日記」は、YOUNiiiiQの編集者・伊藤愉快が月1回、
「福島にないもの」をテーマにこんなことしたら楽しいな、こんな場所あったらおもしろいな、
なんてことを無責任に妄想して口にする妄想コラムです。

第3話 花のまち ふくしま

年々、夏の暑さが異常になっている。地球温暖化のせいですか、40℃って人間の体温でいったら高熱で倒れてますよ。
そんな中、電気代は上がる一方で、うかつにエアコンをつけっぱなしにもできない。
ぼくたちは一体どこへ行けばいいのでしょうか?最近の挨拶は「こんにちは」じゃなくて「今日も暑いですね~」になっている。おかしいでしょ
こんな愚痴を言っても仕方ないのだけど、暑さで愚痴も言いたくなります、、許してください。すべて夏のせい

でも、不思議なことに日中は年々暑くなっているのに、夜の涼しさは例年と変わらない。
日中が拷問的な暑さで夏が嫌いになりそうでも、夜は風が心地よくて、空気を吸いについ外へ出てしまう。(夏の夜って、つい飲み終わりの散歩とか、用もないのにコンビニにいくことしちゃいませんか?)
そうすると、やっぱり夏っていいなって思ってしまう。夏ってメンヘラ

よくわからないひとり言から始まりました。そんな、ぼくはいま何をしているかというと、飲み会終わりに散歩している帰り道です。
やっぱり、夏の夜は缶チューハイ片手に散歩して帰るに限ります。夏って最高。(やっぱり夏が好き)

ぼくは、酔っぱらうとなぜかまちを散歩しはじめるという習性があります。ひとによっては、徘徊とも呼びますけど・・・。そして、ぼくのお散歩コースは決まって駅前を一周します。

なぜかって?福島駅前ってなんか行きたくなっちゃうじゃないですか。いつ行っても人がいるし、道には花が溢れていて、気が付いたら用もないのに行ってしまう。
(あ、妄想はじまってますよ)

4年前から、福島駅前がガラッと変わりました。それからです。駅前に行くのが楽しみになりました。

仙台は「杜の都」と呼ばれていて駅周辺、まち全体が緑で溢れています。
それに対抗したのか、真似をしたのか、オマージュしたのか、ふくしま駅前には、一帯に花や樹木が植えられて色鮮やかなまちになりました。

そして、いまでは「花のまち ふくしま」と呼ばれるようになりました。

「花のまち」と呼ばれるようになってから、駅前には昼夜問わず人がいるようになりました。駅前が人で溢れるようになってから、福島は明るいまちになりました。

歩いている人だけでなく、ベンチに座って本を読んでいる人、コーヒーを飲んでいる人、友達とおしゃべりしている人、芝生に寝転んでいる人やランチをしている親子など。
子どもから大人まで、とにかくたくさんの人が街中にいる。(缶チューハイ持っているおじいちゃん、TPOは考えようね。あ、ぼくもか。ちゃんと缶は持って帰るし、静かにまちを通過していくので許して・・・)

コロナ禍で自分の居場所について考えてた人や悩んでいた人も多かったと思うから、この雰囲気はすごくいい。

大きなデパートやショッピングモール、ブランドショップができたわけでもなく、駅前から街中全体にかけて花や樹木が植えられただけで、こんなにも人が駅前に出てくるようになった。
福島に、駅前に、本当に必要なものは何だったのか。これからも、このことについては考えていかないといけないと思うな。

今回、駅前から街中全体に花や樹木が植えられてできたものは、皆の「居場所」だと思う。特別、目的を持って何かをする場所ではないけど、何もしなくても良くて、居心地が良くて、居たいと思ってしまう場所。
そこにいけば誰かがいるから、皆とりあえず向かってしまう。最高ですよ

ちなみに、こんなにも駅前が花で溢れるようになったのは、福島市の”1世帯あたりの切り花への年間支出額が日本一”というデータからみたい。(福島の人は他県の人と比べても墓参りや仏壇への供花を欠かさないそうです)
他にも、意外と知られていないけど福島は”ぼんさい”が有名だったり。福島市のキャッチフレーズに”花も実もある福島市”とあったり。(忘れてた)

それなら福島市をとことん「花のまち」にしちゃおう!みたいなノリらしいです。「供花だけじゃなくって、福島駅前を花で溢れさせて華やかなまちにしちゃおう!」と。こんなノリがいい福島市、大好きです


今までは、半袖海パンで散歩をしていたけど(それができるのもいい)人が多いところを散歩するようになったからか、少しだけちゃんとした格好をするようになりました。
駅前にでる人が増えたからか、ここ数年で街中にお洒落な人が増えた気がする・・・花のせい?いや、お陰か(笑)

なんて、ここ数年で変わったまちを見ながらまちの変遷を振り返っていると、缶チューハイをちょうど飲み終えて、無事に家へ着きました。花をつまみにしたからか、心なしか飲み過ぎた罪悪感が軽減している気がする。

明日は二日酔いになりませんように。
そして、いま駅前にいる酔っ払いにも、駅前から足が遠のいている人にも”ちょうどいい”そんな駅前ができますように。

いまの福島駅前の現状

(引用)
1)2020年の総務省家計調査によると、福島市の1世帯あたりの切り花への年間支出額は1万6275円。 県庁所在地と指定市の全国52都市で首位となっており、2位の仙台、鹿児島両市(1万1409円)を引き離し、最下位の福岡市(3797円)の4倍以上になっている。
朝日新聞デジタル(2021)
2)増える中心市街地の駐車場 マイ・フクシマジャーニー

第4話に続く。

あとがき

この妄想したのは、日本が「地球沸騰化」となんともセンスのある比喩をされはじめた7月頭。それからはや2カ月、気が付けば自分の妄想が実現までとはいかないけど、動き始めていたりいなかったり・・・言霊ってありますね。残暑が厳しい日が続いていますが、朝と夜には少しずつ秋の匂いがしてきました。お互い無理せずに、秋と冬にお会いしましょう。

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伊藤愉快

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すづ

2003年生まれ。会津若松市出身。
地元で漆芸を学んだ後、個人でイラスト制作の活動をしながら
ものづくりに携わるお仕事をしています。

@zuuus__