ゆかいの妄想日記 イラスト

「ゆかいな妄想日記」は、YOUNiiiiQの編集者・伊藤愉快が月1回、
「福島にないもの」をテーマにこんなことしたら楽しいな、こんな場所あったらおもしろいな、
なんてことを無責任に妄想して口にする妄想コラムです。

第6話 家族以外、立ち入り禁止

ああ、気が付けば2月。
年末年始、浮かれていたわけではないのですが、今年はコロナ明け初の年末年始。年末の街なかや年始の初詣には、たくさん人がいて、皆さん久しぶりの人混みや賑わいに浮かれている様子でした。そして、それを見てぼくもニヤニヤしていました。(浮かれていたってことです)ニヤニヤして気が付いたら2月ってちょっと、いやかなりヤバいな・・・。

あ、でも、毎年「こんなのに何の意味があるんだ?」と一瞬考えながらも結局は引いてしまうおみくじは、大吉を引くことができたので今年はいい年になりそうです。まぁ、おみくじを引く時に100円玉を持ち合わせておらず、調子に乗って1000円入れて引いた大吉なので、いい年になってもらわないと困ります。

そんな欲深く、わがままばっかり言っているぼくは、今年も一筋縄にはいかない一年になりそうです。皆さん、どうか温かく見守ってやってください。

今年の「ゆかいな妄想日記」もぬるっと始めますね。

「家族以外、立ち入り禁止」

??

「中学生未満のお客様はお断りしています」のような看板を掲げているお店はちらほら目にするけど、「家族以外、立ち入り禁止」は初めて目にする看板。そう言えば、中学生未満を立ち入り禁止にしている理由ってなぜなんだろう・・・?と考えながら店の前に立ち尽くしていると、店の中から女性がひとり出てきた。

「ごめんなさい。当店は、『家族以外、立ち入り禁止』なんです」

別に入ろうとしていたわけではないけど、お姉さんが本当に申し訳なさそうに謝ってくれるから、こちらも店前に立ち尽くしていたことに申し訳なさを感じた。(心の中で、「ごめんなさい。怪しかったですよね」と謝った)
そして、そんな申し訳なさそうに謝ってくれたお姉さんには、今まで聞けなかったこの質問を聞けるかな?と思って

「なんで、『家族以外、立ち入り禁止』なんですか?」

と今まで似たような状況で聞くことができなかった質問を、ここぞとばかりに聞いた。そうすると、お姉さんは笑顔で答えてくれた。

「当店は、『家族以外、立ち入り禁止』と称していますが、実際は未就学児のお子さんがいらっしゃる家族だけが入れるレストランなんです。」

「??」想像していた答えと違う答えが返ってきて、頭の中にはクエスチョンマークしか浮かばなかった。しかし、説明には続きがありそうな雰囲気だったので「はあ」と気の抜けた返事をして、続きを聞くことにした。

「未就学児の入店をお断りしている店って、たまにありますよね。高級レストランや空間としてのこだわりを持っている店では、あえてそのルールを提示することでお店とお客様だけでなく、お客様同士が気持ちの良く店を利用できるようにしているみたいです」

あー、そんな理由から未就学児の入店をお断りしている店ってあったんだな。
ただ、お店の人が子ども嫌いってわけじゃないんだな・・・今まで偏見を持っていた自分が恥ずかしい。なんて自分の浅はかさに少し反省。お姉さんは話しを続けた。

「でも、実際、未就学児のお子様がいらっしゃる家族が行けないお店って、予め入店のお断りをしているお店だけじゃないんですよね。ルールを掲げていないだけで、暗黙のルールやマナーのようなものはどこの飲食店にもあります。」

確かに。でもなあ、と思いながら聞いてみた。

「でも、それってお店が悪いことじゃないし。仕方のないって言葉は使いたくないけど・・・仕方のないことですよね?」

お姉さんは、今までも笑顔だったのに、さらに笑顔になって頷きながら答えた。

「そうなんです!そこで、当店があるのです!」

「・・・。ああ!なるほど!」

「当店は、予め未就学児のお子さんがいらっしゃる家族しか入店することができないことルールとして提示しているので、利用するのは同じ境遇にあるお父さんお母さん。だから、お互いに(誰も)子どもが泣いたり、騒いでしまうことを心配する必要がないんです。」

「小さなお子さんのいるお父さんお母さんも、たまにはお洒落をして美味しいご飯を食べに行きたいものです。ですが、それをお子さんが理由でできないのは少し悲しい・・・そう思い、そんなお父さんお母さんのためのレストランができたのです。」

なんて素晴らしいコンセプトのお店なんだ・・・と感嘆に浸っていると、お姉さんが最後にポロリと「お兄さんもいつかご来店してくださいね」とにこやかに胸に刺さるひと言を放ってきました。
なので、ぼくも笑顔で「また来ます」と返事をしました。

そして、3日に1回は合っているだろう、独身・男友達に呼び出されたやきとん屋へ向かいました。

【「家族以外、立ち入り禁止」のルール】
・未就学児の子どもがいる家族のみが利用可能
*親戚、祖父、祖母はNG
*未就学児ではない兄弟姉妹はOK
・子どもが泣いたり騒いだりしてしまっても、気にしないでください。そして、隣の席の方が同じような場合は、思いやりの気持ちで見守ってください
・レストランにはキッズルーム券託児所もご用意あります。必要に応じてご利用ください
・特別な日(結婚記念日、誕生日etc.)にはサプライズプレートを無料でお出ししています。事前にご相談ください


つい先日、偶然ネットニュースで目にしたんだけど、福島市が「子育てしやすい街ランキング」東北1位に選ばれたみたいです。全国でも8位だとか。

すごくないですか?正直、そんなイメージは全くなかったので、実際のところどうなのかわかりませんがランクインしていることがすごいと思いました。

当たり前ですが、まちには子どもがたくさんいた方がいいです。まちの子どもは、まちの未来(将来)です。

そして、子育て世代はまちで一番のエネルギーを持っている世代な気がします。そこで、子育て世代に優しいまちは、エネルギーが集まる(溢れる)まちになるのではないか・魅力的なまちづくりにも繋がるのではないか、と思い今回の妄想をしてみました。(自分に子どもがいないので、この妄想がどのくらい子育て世代に喜ばれるか分かりませんが「ゆかいな妄想日記」なのでご愛敬でよろしくお願いします(笑))

ぼくもいつか、自分の故郷に誇りと愛情を持って、子育てができますように。

第7話に続く。

あとがき

今年の冬は雪はあまり降らなかったですが、暑くなったり寒くなったり気まぐれの気温で体調を崩されている人が多かったのではないでしょうか?(ぼくも年始から体調を崩していました) 皆さん、健康が一番ですよ。ご自愛ください。話は変わりますが、3月は別れや区切りの季節。近々、ぼくの周りでも別れや区切りとなることがいくつかあります。変化のタイミングは疲れやストレスが溜まりやすいので皆さん無理しないでくださいね。春は桜で一杯やる楽しみがありますから、明日からまた一緒に頑張りましょう。
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伊藤愉快

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すづ

2003年生まれ。会津若松市出身。
地元で漆芸を学んだ後、個人でイラスト制作の活動をしながら
ものづくりに携わるお仕事をしています。

@zuuus__