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29年間の「いつも通り」を、街の記憶に。│SASYU鎌田店
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福島市鎌田にある『SASYU(サシュウ)鎌田店』が、2026年5月31日に店を閉じます。 平成9年にオープンしてから、29年。 「街の本屋さんがなくなる」というニュースは、今の時代、珍しいことではなくなってしまったかもしれません。
でも、SASYUがこの街でやってきたことは、ただ本を売ることだけではありませんでした。 2022年のコロナ禍の真っ只中に、カフェ&ベーカリーを作ったり、子どもたちの本棚を広げたり。「これから先も、街の人に喜んでもらえる場所でありたい」と、どこまでも誠実に、福島の街と向き合ってきた歴史がありました。

「お客様が楽しそうなのが、一番の理由でした」
「常に時代のニーズに即した転換を図る」 その姿勢の根底にあった想いとともに、SASYUの29年は変わり続ける毎日でした。 オープンした頃は、レンタルビデオやCDが全盛期。みんなが「新しいエンタメ」を求めてお店にやってくる、街の発信基地のような場所でした。
でも、時代は変わります。スマホで映画が見れるようになり、ネットで本が買えるようになりました。 「これから先、お客様は何を求めるだろう?」 そう考えて、11年前にはレンタルコーナーを『セリア』に変えました。4年前には、焼きたてのパンが香るカフェ&ベーカリー『LUKKA』を併設させました。
その原動力について、代表の國井さんはこう話してくれました。 「週末にお店が賑わって、お客様が楽しそうに商品を手に取っている姿を見ると、あぁ、世の中にプラスになっているなと思えたんです。それが、ここまで続けてこれた理由ですね」
その時々で、街の人が喜ぶ顔が見たい。 その一心で、形を変えながら、この場所を守り続けてきたのです。
「たまたま出会う」という、ちょっとした幸せ
今は、クリック一つで明日には本が届く便利な時代です。 それでも、國井さんは「本屋という場所」でしか起きないことを、大切に考えていました。
「ネットは便利ですけど、本屋は『まだ見ぬ世界』出会える場所なんです。ふらっと寄って、予定になかった本を手に取って、ワクワクしたり、教養をもらったり。そういう『偶然』が、人生をちょっと豊かにしてくれると思うんです」
わざわざお店に足を運んで、棚を眺めて、めくる時の紙の香りを嗅ぐ。 そんな「ひと手間」が生み出す出会いが、人の心を育てていく。 SASYUは29年間、そんな「街の偶然」をずっと作り続けてくれました。

子どもたちのなかに、のこるもの
特に力を入れていたのが、児童書コーナーでした。 スタッフの皆さんも子ども(の本)が大好きで、これからの世代にこそ、本に触れてほしいと願っていました。
あのお店で、お父さんやお母さんに本を買ってもらった記憶。 自分で一生懸命選んだ一冊。 お店はなくなってしまいますが、そこで本に出会った子どもたちが大人になったとき、彼らの中に蒔かれた「種」は、きっとどこかで芽吹くはずです。

最後まで、当たり前の毎日を続けていく
閉店が決まっても、お店に派手なイベントはありません。 「特別なことはせず、これまで通り、当たり前の毎日を最後まで続けていきたい」 國井さんはそう言います。
29年間続けてきた、本を並べて、お客さんを待つ。 その「当たり前」を積み重ねてきたことが、SASYUというお店の誠実さそのものでした。
5月31日を過ぎると、本棚からは本がなくなります。 でも、「株式会社SASYU」としての歩みは終わりません。7月中旬には、新しい形でのお店がまた始まります。カフェ&ベーカリー「LUKKA」も続きます。
「ものと人が出会う場所を作りたい」という國井さんの思いは、これからも形を変えて、この場所で続いていきます。
『SASYU鎌田店』として、29年間、この街に寄り添ってくれて本当にありがとうございました。 SASYU鎌田店がのこしてくれた温かい記憶は、これからも私たちの心の中に、一冊の大切な本のように残っていくはずです。

INFORMATION

SASYU鎌田店
住所:〒960-0102 福島県福島市鎌田下釜5−1
営業時間:9時30分~20時(「LUKKA」も同様)
閉店日:2026年5月31日
公式ホームページ:https://sasyu.co.jp/
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