岡部 朝陽にとってのふくしま
本格的にコーヒーフェスティバルを企画として動き出したのは、5月中旬。少しずつ気温も上がり始め、夏の訪れを待つ頃だった。
「やろう」と思うことは、実際に「やる」と動く時と全然違った。経験も知識もない僕たちは分からないことや知らないことが多すぎた。ただ、それは最初から分かっていたことでもあった。店の中でやる自分たちのイベントとは違って「多くの人を呼び込むようなイベント」をやろうとしているのだから。この時、9月から11月の間にイベントをやろうと想定しており今からどう足掻いたいたって自分たちに足りないものを身に付けることはできない。だから、まずは僕たちには足りない力を持っている大人たちを巻き込むことから始めることにした。
その為に、今ある知識を精一杯に絞り出した。そして、気持ちだけが先走らないようにしながら走り始めた。(もしかしたら、気持ちが先走ってしまった時もあったかもしれない(笑))
「想いを形に」
想い描くのは、やはり「東京コーヒーフェスティバル」のような様々なカルチャーが交わるようなイベント。福島市にも新しいカフェやロースタリーが増えてきて、ここ数年で福島にも新しい文化や感性が流れ込み浸透しつつあるのを感じていた。だから、これは福島でもできると思ったのだった。
今までも、そういったイベントがなかったわけではないのかもしれない。ただ、僕たちが知らなかっただけかもしれない。新型コロナウイルス流行によってこの2年間が沈んでしまっているだけかもしれない。でも、結局は知らないという事実がある。
誰しもがこの2年間の空白に虚無感や喪失感を感じていると思う。でも、今のままではこれから先もこの空白が続いてしまう気がした。僕たちは、これから先も福島を遊び場として生活するのに知らなかったという空白のせいで楽しみを知らないのは嫌だ。「昔は、こんなイベントがあって楽しかった」なんて昔話を聞かされるだけで終わるのも嫌だ。だから、その空白を塗りつぶすように自分たちの色を出して、自分たちの次の世代までも繋げるようなストーリーがあるイベントにしようという想いを企画書にぶつけて、はじめて形にした。
「集結した15店舗のコーヒー店」
このイベントをやりたいと思った時、福島のコーヒー店の協力が必須だった。正直、周りのコーヒー店は先輩ばかりだったので協力していただけるか不安だった。でも、できることと言ったら想いを込めて作った企画書を持って自分で足を運んで直接伝えることしかなかった。だから、自分の想い・イベントの概要・未来の福島をとにかく自分の熱量そのままに伝えた。大変ありがたいことに、先輩方はしっかりと話を聞いてくれた。さらには、福島について思っていることやコーヒーフェスティバルに対する助言やアドバイスまでしてくれた。正直、至らない部分ばかりで、どこまで自分の想いを伝えることができたかわからないが先輩方は今回のイベントへの協力に手を挙げてくれた。こうして、今回参加する福島市内外15店舗のコーヒー店が集結した。
「皆と一緒に」
(「THECOFFEE‘S」実行委員長 齋藤友希の想い)
本当かどうかは知らなかったが「福島の人は協力し合うことをしない」と今回のイベントを企画する中で耳にしたことがある。関わる人が増えるほど、難しくなることは当然ある。自分が思っていることと相手の思っていることが同じなんてことはほとんどない。でも、それは協力し合わない理由になるのだろうか?
正直、自分の店を営業しながら大規模なイベントの運営や準備ができるか不安と悩みがたくさんあった。それでも自分の思いが言霊となって実行委員会のメンバーや今回の出店者が集結し自分に足りない力を補ってくれて、支えてくれている。福島の人が協力し合わないなんて、そんなことはないと思う。もしかしたら、そんな人もいるのかもしれないが、しっかりと想いを伝えて相手を知ろうとしたときにはじめて協力してくれる人がいることを私は知っている。やりたいことも言いたいことも変えていない、手段を変えたんだ。
「THECOFFEE‘S」は出店者・お客さん・スタッフ関わる人皆が誇れるイベントになると思う。
「THECOFFEE‘S」を皆で創り上げて、ひとつのブランドにしたい。
INFORMATION
THECOFFEE’S(ザコーヒーズ)
福島市内外のロースタリー・カフェが集結し、福島の飲食店・アパレル・雑貨店による出店販売やDJによるミュージックセッションなど。様々なコンテンツが融合したコーヒーフェスティバル。
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