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大学生にコーヒーやカフェの魅力を伝える 塩野巧真さん【Youth Finder】

自分の考え・手段で何かをしたいと思っている人・挑戦している人が福島にはたくさんいる。
「Youth Finder」では、様々な活動をしている、福島県出身・在住の若者(10~20代)をピックアップしていく連載企画です。

8人目は、大学生にもっとコーヒーやカフェの魅力を伝えたい。そんな思いからコーヒーサークル「BEAM(ビーム)」を立ち上げた巧真さん(21)。
コーヒーの飲み比べの企画やイベントへの出店をすることでコーヒーやカフェの魅力を発信する巧真さんに話を聞きました。

現在の活動について教えてください

2023年3月から発足した福島大学のコーヒーサークル「BE-AM」の代表を務めております。
福島のコーヒーショップやカフェとの交流、それらのお店が使用している豆を利用したコーヒーの飲み比べや出店を行うことで福島の大学生にコーヒーやカフェの魅力を伝える活動を行っています。

現在の活動を始めた”きっかけ”を教えてください

きっかけはかなり単純で、サークルの構想は雑談から生まれました。

僕は高校生の頃からカフェ巡りやコーヒーが趣味でこの趣味はもちろん今でも続いています。 大学に入った頃、そういった趣味を共有できる友達やサークルがなく、一人で趣味を漫喫していました。
大学の3年間この趣味を続けていると、さまざまなコーヒーに関わる方々とお話しする機会があり、とても充実していたと思います。(もちろんいまも続いている)
一方で、コーヒーやカフェの趣味を持っている大学生があまりいないなという印象を同時に抱いておりました。 もちろん、コーヒーやカフェの趣味を持っている大学生は多くいるかと思いますが、大学生間で触れ合う機会や場所がなかったからではないかと思います。 大学3年の秋頃、僕のお気に入りのコーヒーショップで大学生が触れ合う機会がないと雑談を繰り広げていたときに いっそのこと僕自身が作ればいいのではないかという結論になりました。そういわれたときは「そうか、ないなら作ればいいんだ」といった具合で、その驚きというよりもむしろこれまでの悩みの解決策が見つかったような安堵に近い気持ちでした。サークルの作り方だとか、メンバーの集め方など何も知らない状態でしたが多くの縁があってひと月で13名ものメンバーとともにこのサークルをスタートすることができました。 もう一つの理由は福島のコーヒーショップに訪れる大学生が少ない印象を受けたことです。福島には魅力的な、オリジナリティにあふれるカフェがたくさんありますが、それらがまだ大学生に伝わっていない現状があります。この現状の背景には大学生が抱くコーヒーのイメージがあるかと思います。 「コーヒー=苦い」や「コーヒーの酸味=美味しくない要素」、「コーヒースタンド=敷居が高そう」、「コーヒー=100円で飲むもの」……といった固定観念が根強く残っており、大学生という大人になる過程でこれらのイメージが残っていることはすごくもったいないなと思っています。 僕たちの始めた活動によって、これらのイメージを払拭し、福島のコーヒーショップやカフェに足を運んでくれれば嬉しいです。

活動を始めて変化したことはありますか?

「どうやって大学生がコーヒーを好きになってくれるか」と考える機会が多くなったことです。
これまでは自分の好きなコーヒーの種類や風味はわかっていたので、そういったことを考える機会は全くなかったのですが、ネガティブなイメージを抱いている人たちにどうやってその魅力を伝えていくべきか、イメージを払拭させるためにはどのようなアクションを起こすべきかを考えると非常に難しい問題だと気付くことができました。

コーヒー以外のコンテンツにおいても、イメージに関する問題はあります。例えば私の父は日本酒が苦手ですが、この理由として父が大学生の頃に先輩に日本酒を散々飲まされたことから起因しているそうです。日本酒にも美味しい日本酒は数多く存在しますが、一度トラウマ的な記憶を植え付けられたことで、日本酒の持つ本来の良さを父は直視できなくなってしまったのではないかと推察します。 ほとんどの人はコーヒーを散々飲まされることはないはずですが、初めてコーヒーを飲んだ際のネガティブな記憶が根強く残っているために「コーヒーは苦いし、コーヒーの酸味は酸っぱいものしかない」という印象のままで、コーヒーというコンテンツを見つめてしまっているのが現状です。そういった個々の持つコーヒーのイメージは個々の記憶の根にこびりついており、そぎ落とすことは容易なことではないと実感しました。
一方、そぎ落とし方は案外単純でもあります。多くのコーヒーラバーはいかにしてコーヒーを好きになったかと聞いた場合、「ある店のある豆を飲んだ時」と答えます。 もともとコーヒーが好きでなかった人が「たまたま」ある店に訪れてコーヒーを飲む、するとその風味が衝撃的な美味しさであったために、こびりついていたイメージがそぎ落とされる。その直後から爆発的にコーヒーに対する興味・好奇心が芽生え、結果としてコーヒーという趣味を開花させる。各々の好きな風味を見つけることができれば、開花へのシンプルなステップに導くことができるのではないでしょうか。 仮にこの流れを再現するとすればその「たまたま好きな味」をコーヒーを知らない人たちに提供する必要があり、単純ではありながらも困難な作業になるとは思いますがコーヒーを飲む機会が増えればいつか「たまたま好きな味」にたどり着くはずです。BEAMの活動でいつか大学生に個々の好きな味を見つけてほしいなと思います。

人生に影響をもたらした”モノ”

影響を与えたものは本当に数多く存在し、絞れることは難しいです。
例えば福島をどう盛り上げるためにはどういったアプローチをすればいいかと日々奮闘されている方々に触れ合う機会を得られたことからも影響を強く受けました。その経験からサークルの結成といった答えに繋がったのだと思います。

あとは個人的に影響に残ったものは地元山形にあるとあるカフェの存在です。僕が高校3年生のときに惜しくも閉店してしまい、ご紹介できないことが残念なのですがそのカフェの存在が自分の中で自分のコーヒー観やカフェの面白さに気づくきっかけになりました。
店内の写真がないので説明するには限界がありますが、そのカフェの雰囲気がとにかく洗練された雰囲気であったことは覚えています。 壁際と窓際にテーブルとイスがそれぞれ一脚置かれた本当にこじんまりとしたお店で壁の上部にはバイオリンが備え付けられており、ゆったりとクラシックが流れていたのを覚えています。当時高校一年生で捻くれまくっていた僕はそこで読書という習慣とカフェで時間を過ごすという癖が染み付いたのだと思います。
そのカフェには壁際の机のそばにあるサイドテーブルの上に積み重なった本があるのですが、僕はその中からたまたま村上春樹の「風の歌を聴け」を選び、パラパラと読むことにしました。別に村上春樹は名前しか知らないけれどなんか暇だから読んでみようかなという気まぐれから読んだわけですが、そのときになって初めて感情の揺らぎ、読書するときにキャラに対して向ける共感めいたものを認識することができたと思います。デーク•ハートフィールドは本当にいると思っていたし、ビールももちろん経験したことはないはずなのにキャラクターから伝わってくる感情……歪みきってた性格もこの頃から少しずつ、読書から得られるキャラクターに対する共鳴とあの雰囲気によって矯正されました。 ちなみにその初体験がきっかけなのかわかりませんが、いまでも読書に集中できるのはカフェにいるときです。

福島の印象を教えてください

「変化を迎える都市」だと思います。
これまで何もないと思われていた福島の魅力は次第に再発見され、「ここにしかない何かがある」空間として進化していくのだと思います。 福島を盛り上げたい情熱的な人たちのお手伝いを、今後サークルとしてもさせていただきたいです。

今後の展望/目標を教えてください

このサークルの熱意が何年先も継続するよう活動していきたいです。

このサークルの結成自体多くの方々のサポートから成り立っており、そういった方々の期待を裏切りたくないという一面もありますが、「福島のコーヒー・カフェ文化を発展させたい」という目標の達成にはこのサークルの結成だけではまだまだです。

文化を発展させる、創造するということは時間の流れと多くの人が必要不可欠であると考えます。多くの人々がコンテンツを理解して、実際にそのコンテンツに対して行動を起こす、この流れが連鎖的かつ、多様的に広がり続けることでコンテンツは文化として昇華するのだと思います。

つまりは人々がコーヒーの魅力を知って、コーヒーショップに足を運んでみたり、コーヒーと他のコンテンツを結び付けたりといったアクションが継続されることで老若男女問わず多くの人に「福島の」コーヒーが受け入れられ、結果として文化は発展するのだと考えられます。そのためこのサークルが長い時間をかけて多くの人にコーヒーというコンテンツを広めていくことが必要で、サークルの結成は一つのきっかけに過ぎないと捉えています。

BEAMは本来「光」という意味ですが、この言葉が示す通りコーヒーやカフェの持つ魅力が光線のように届いていってほしい願いを込めて命名しました。天体から発せられた光というものは長い時間をかけて地球に到達するそうですが、BEAMの活動を通して「福島」のコーヒーやカフェが遠い未来の大学生にも伝わるよう努めていきたいと思います。

プロフィール

名前:塩野巧真
出身地と在住地:山形県山形市出身・福島市在住
趣味:コーヒー・読書・スキー 

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