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星野和宏 / WINE BAR HOSINO

星野和宏さん

数々の分岐点と今に繋がる経験

自己紹介をお願いします。

ワインバーホシノ店主の星野和宏(ほしのかずひろ)です。1979年7月17日生まれ、群馬県出身です。趣味は、映画鑑賞とキャンプ、特技はMCです。(笑)MCが特技と最近気が付きました。カウンターに立っているとお客さんが何人かいるので、ひとりの人とだけ話し続けることができません。そんな時は、 “皆で話そう!” と話を皆に振るようにしていたら「あ、MCが得意なのかな?」と思うようになりました(笑)

高校からの経歴を教えてください。

群馬県桐生市の男子高校を卒業後、すぐに社会人になりました。最初は、近所のスーパーマーケットに就職したのですが人間関係が上手くいかなく1年で辞めてしまいました。その後は、夢もなく栃木に拠点を移してフリーターをしていました。そんな時、社会人劇団と出会い・興味を持って、悪役商会にいた人がやっている劇団に入りました。劇団に所属しながらオーデションを受けて役者を目指しました。ただ、それも25歳の時になんか上手くいかないな、と思い辞めました。その後は、福島に来るきっかけにもなった呉服屋で8年間勤めました。後に、8年間勤めた呉服屋も辞めることになりまして、呉服屋の次に今の飲食の世界に入りました。

悪役商会:映画やドラマなどで悪役を演じる俳優により構成されたグループである。

高校生の時、夢はありましたか?

なかったです。進学するなら美術系と考えたこともありましたが、その為には奨学金制度を使う必要があり、自分が朝から新聞配達をしているイメージもできなかったので、それなら稼ごうと思いました。その当時は、進学か就職しか選択肢がありませんでした。

飲食店に携わるまでの分岐点について教えてください。

まず、役者を目指したきっかけは “目立ちたい”・“モテたい” というのと違う人の人生や気持ちを追体験してみたかったからです。でも、実際にやってみると自分は自分でしかないということに気が付き辞めました。

次に、呉服屋に勤めたのですが、きっかけはこれもとても単細胞な理由です。(笑) “どうせなら日本人にしかできない仕事をやりたい” と思ったからです。当時、日本人にしかできない仕事・・・「あぁ、着物か!呉服屋は日本にしかないな」と安直に思ったのです。もしかしたら、日本人にしかできない仕事ということで、自分の中でアイデンティティを確立したかったのかもしれません。

星野さんは、その時々で自分のやりたいことに素直に行動してきたと話す。

変わらないアイデンティティ

呉服屋で働いた8年間はいかがでしたか?

呉服屋で働いている時間は、すごく楽しかったです。天職だと思いました。着物の柄やデザイン、意味、衣装によってのTPO全てにおいて興味深かったです。日本人ってすごくて、今皆が着ている着物は江戸時代に確立されたものと言われていて、江戸時代から1600年くらい変わっていないのです。すごいと思いませんか?日本人が大切にしていた考えや思いをお客さんに伝えるのが好きでした。そんな、好きだった呉服も辞めてしまったのですがそこには大きな転機がありました。それは、着物は今でもずっと好きなのですが、売り上げを上げないといけない、もちろんわかってはいたけれどその売り上げの立て方や上司のやり方に疑問を感じ、少しずつ自分と仕事にズレが生じてきてしまって、とても心残りはあったのですが2011年、8年間務めた呉服屋を辞めました。

飲食店を始めることになったきっかけは?

呉服屋をやっている時は、仕事人間で飲みに行くということもほとんどしなかったです。それが、仕事を辞めてふらっと飲みに行った日のことです。この時は、なにも知らずに入った「スペインバル&リストランテ カメレオン」。まず、お店の雰囲気がなんとなくいいなと思いました。皆が笑顔でわいわいしている感じ、呉服屋の時にはみたことがない景色に新鮮さと憧れを感じました。そして、ふと店員さんに「採用ってしていませんか?」と聞いたのがきっかけです。その時は、採用できるかはわからないけど話はしてくれることになって、後日面接をしていただき、これから新店舗のオープンを控えているというタイミングもあったことから奇跡的に新店舗のマネージャーとして採用していただけることになりました。(笑)

飲食店を始めてみてどうでしたか?

経験したことがない飲食店という世界。しかも、ワインも飲食も知らないのに最初からマネージャーという立場になってしまい不安しかなかったです。新店がオープンするまでの間は、系列店でならし運転で営業をしていたのですがやる気が空回りしてしまってアルバイトやパートの子たちにきつく当たってしまうこともありました。他にも、ワインの店なのにワインについての知識が足りなくお客さんからボロクソに言われたり、いただいたお酒で酔っぱらってしまったりとたくさんの失敗を重ねました。でも、そんな失敗を重ねながらも少しずつ飲食店について学び、自分の心に余裕ができてきて楽しく営業する接客することの楽しみを知り飲食っておもしろいなと思うようになりました。

ワインを好きになったきっかけは?

最初は、全然興味もありませんでした。ワインってあるな、ワイン飲んでいる自分かっこいいな~くらいでしか飲んでいなかったですね。飲食店に勤めるようになり、勤め先がワインの店ということもあって、それなりに勉強するようになりお客さんに勧めている時にワインと呉服が共通しているなと感じました。呉服とワインが共通しているのは、知らない世界を伝えて・教えることでその人の価値観や世界観が変える・広げるということです。呉服、聞いたことある。ワイン、聞いたことある。でも、“何がいいの?”“詳しくは知らない”という人がたくさんいる。敷居が高いとかしっかりしないといけないと思う部分あると思うけれど、「そうじゃない部分もあるよ!」という入り口になりたい、その思いは、呉服を扱っている時と今ワインを扱っている時で変わらないアイデンティティなのかもしれません。

呉服でもワインでも自分のアイデンティティは変わっていなかったと振り返る星野さん

その時、聞こえた声の方へ進んだ

ソムリエの資格を取得した理由

最初は、美味しいワインを知っていてお客さんに提供することができればいい、そう考えていました。そんな時です。ワインバー「ワイン&チーズ マリアージュ」の伊藤さんが店を訪ねてくれて「ソムリエの資格は持ってなくてもいいという考えは、ソムリエの資格を持っている人間が言うことだ」と話をされて、ぎくっとすると同時にまずは取得しようと思いました。そして、偶然にもそのタイミングで酒類食品卸の「追分」でソムリエ対策講座の一期生を募集していると聞き、このタイミングだ!と思いソムリエ対策講座を受講し、2016年にソムリエの試験を受けて、無事に1発合格をすることができました。ソムリエを取得して良かったことは、まず自分を応援してくれる人たちが喜んでくれたことです。今まで以上に自分の提供するワインへの信頼をしてくれる人が増えましたし、試飲会へ行った時には、自分がソムリエだということを知ってもらうことで話す内容も変わってきました。

独立したきっかけ

ソムリエを取得し、最初は逆にソムリエとして振舞わないといけない、と肩に力が入ってしまって堅い接客をしてしまうことが多々ありました。そんな時です。営業終わりによく通っていて以前、屋台村にあった「ワイン酒場Tetsu」で飲んでいる時に、ネクタイやジャケットも着ずにラフな感じでただワインを楽しんでいる自分をみたお客さんが「ワイン酒場Tetsuにいる星野さんの方が好き」と言われました。その時に、自分の良さというか周りの人が求めている自分はかしこまった雰囲気の中にある自分ではないのだなと思うようになりました。そこからは、ラフな自分で営業するようになり独立についても少し考えるようにはなりました。そして、2020年に新型コロナウイルス蔓延と店の事情から店が解散することになって、それがきっかけとなって独立することになりました。

オープンから今日まで

結果的に店の解散が独立のきっかけにはなったのですが、最初は自分で料理をやってきたわけではないし、ひとりで店をやることに自信がありませんでした。それにこのコロナ禍で周りの店がどんどん潰れていくのをみていたので、転職活動をしたこともありました・・・それでも店をオープンすることになったのは、天ぷら店「てんぷら ひら井」の平井さんからのひと言が決め手でした。店を出そうか平井さんに相談している時「料理なんかできなくていいだろ。お前の店のつまみはトークだよ」と言われたのです。自分が尊敬する人、それも料理人からそんなことを言われた時に、なにか自信となって不安はあったけどやるしかない!そう思いました。そして、無事に2020年10月8日に店をオープンすることができ、今年で2周年を迎えます。いつもなにか選択をしなければならないときには、誰かしらの言葉がきっかけとなり、その時々で声のする方へ進んで来たら今日を迎えていました。

色々な種類を飲み比べすることができるのがワインバーホシノの特徴

「ワインの入り口になる」

お店のコンセプトを教えてください。

お店のコンセプトというのかわかりませんが、「ワインの入り口」にはなりたいと思っています。その為に、グラスでたくさん飲めるワインバーにしています。私がワインを飲んでいて楽しいと思う瞬間は良いも悪いも色々なワインを知れることにあります。なので、皆さんにも色々なワインを少しずつでも多くの種類を飲んでほしいと思っています。「ワインバーホシノ」では、その為に飲み比べのメニューを用意しています。その時々で入荷状況が違いますが、その時に出会えるワインを楽しんでいただければと思います。

星野さんにとってワインとは?

ワインは、コミュニケーションツールだと思います。アルコール全般そうかもしれませんが、その中でもワインはラフに共有できるものだと思います。海外のものだからですかね? “飲んでみなよ!” “これ美味しいよ!”などとワインは自然にコミュニケーションが生まれると思います。

星野さんにとって福島とは?

居場所を与えてくれた街で、自分で自分を認めることができた街でもあります。私は、福島の人が好きです。たまたまかもしれませんが、私が出会う福島の人は皆なにかをやりたいと思っている人です。だからか、福島にはなんでもあると思っています。

逆に、福島になにもないと思っている人はなにがあればなんでもあるに変わるのでしょう?

星野さんは、その人のリクエストだけでなく人柄までみて接客・ワインのセレクトをしてくれる。

最後にYOUNiiiiQの読者にひとことお願いします。

「上手くやろうとするな」

はじめから上手くいかないのなんて当たり前。私もたくさん失敗しました。今の時代、テレビやSNSをみているといい話ばかり流れて、自分を悲観的にみてしまうこと・変な焦りや誤解をしてしまっている人が多い気がします。なにか道に迷ったときは、他人と比べるよりも、次の考えに“いや” “でも”と考えるよりも自分がワクワクする方向に進んでみてください。

INFORMATION

WINE BAR HOSHINO / ワインバーホシノ

住所:福島市万世町1-38
営業時間:18:00-24:00
定休日:日曜日
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伊藤愉快

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