あとがき|安斎遥平(カルムコーヒー)
蜂の巣
下北沢は自分の部屋
東京に一人でふらっと行くことが多い。8割はライブが目的ではあるけど。
ライブ前の数時間1人でフラフラするのだが、結局いつも小田急線に飛び乗り一直線に下北沢に向かう。
下北沢といえば何が思いつきますか??
まあ古着ですよね
「石投げりゃ古着屋に当たるんではないだろうか」
そんな安直な考えが浮かんでしまうくらい古着屋が多い下北沢。
だが古着だけではない、
カレー屋さんがなぜか100店舗以上あって、毎年「カレーフェスティバル」なるものを行なっていたり。
国内最大規模のヴィレッジヴァンガードがあったり。(大好き)
ライブハウスも充実しているから必ずと言っていいほどギターを背負った若い兄ちゃんとすれ違う。
演劇・舞台も多いのでさまざまな文化に触れることもできる。
文化の聖地なのではないだろうか。
あ、このコラムは下北沢の紹介ではないです。もうやめますね、褒めるの。
なんともディープな街、下北沢。専門性はしっかりしていているが雑多すぎて色んなものが散らばっていると感じる。ああそうだ、これ、汚い俺の部屋によく似てる。
それぞれのたくさんの生活
ここからが本題。
“下北沢一番街商店街”から一歩はみ出ると、雑多で犇めき合った住宅街が顔を出す。
この路地裏の空間がたまらなく好きだ。
新築・改築した一軒家、アパートが建ち並ぶ間にひっそりと存在する年季が入った住居。
いや、むしろこちらの方が先に存在したのだから言い方が少し違うか。
僕はそいういった建物のベランダを見上げるのが好きだ。
ちょっとモラルに反してしまうのかもしれないが、住居に洗濯物や生活の断片があるだけで、
「この建物にも一つの物語があって、自分の人生とは一切交わらないんだろうな」と考えてしまう。
“袖振り合うも他生の縁”
ということわざがあるが、
“道歩ってても多少の縁”
とかにしてもいいと思う。
ちょっと日差しが強い日だったので、きったない落書きだらけの自動販売機の横で休憩していた。
ふと下を見ると、足元に多くのタバコの吸い殻が落ちていた。
自分にとっては、なんてことのない場所も、誰かにとっては生活の一つのソウルスポットなんだろう。
そう思うと、人生で関わるもの・場所は非常に少ない。
もっと感性を尖らしていきたいな。
そんなことを考え、路上喫煙禁止の看板を横目にその場所を後にした。
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