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“エコタウン”のあるまちづくりをする上神田健太さん

自分のやりたいことを形に、仕事にしている大人が福島にもたくさんいる。

「HUMAN」では、そんな大人たちの今日までのストーリーを紐解いていく企画です。

4人目は、上神田健太さん。

結婚を機に、福島にJターン。人口約8,500人程度の福島の中でも小さなまち「国見町」からまちづくりを始めた上神田健太さんに話を聞きました。

上神田健太さんを知る

自己紹介をお願いします

「株式会社家守舎桃ノ音(やもりしゃもものね) 」というまちづくり会社で代表取締役と「渡辺建設」という地元の建設会社の常務取締役をしています。上神田健太です。

出身は、岩手県の普代村(ふだい)という所で岩手県の中でも人口が一番少ない場所です。コンビニもありません。なので、国見町は僕の生まれた町に比べたら都会だなぁって思います(笑)

趣味は、キャンプです。とはいっても、今はほとんど休みがないのであまり趣味に割く時間がないですが・・・時間があれば、近場や庭でテントを張ってキャンプを楽しんでいます。

高校からの経歴を教えてください

高校は、親元を離れて盛岡市内にある盛岡第一高校に進学しました。盛岡では下宿文化が普通になっています。

高校への進学は、中学生から始めたソフトテニスのスポーツの成績も考慮されての進学でした。高校の時は、とにかくソフトテニスに打ち込んでいました。最後は、東北大会までいくことができました。

高校生の時は将来の夢は特になく、周りが医者を目指す人が多かったので、それを見てすごいなと思いながらもぼんやりと過ごしていました。大学進学を決めないといけないタイミングで、ようやく建築のことやってみたいかな、と職業の本を眺めながら思うようになりました。

そうして、宇都宮大学の建設学科の建築コースを受験しましたが、ちょっと点数が足りず、土木コースに進むことになりました。そこで都市計画やまちづくりと出会いました。

どんな大学生でしたか?

大学までソフトテニスをやっていました。今思うと失敗だったかなと思ったりもします。もっと他のことをやればよかったと・・・(笑)

ただ、奨学金を借りてバイトをしながらだったので今思い返してもあまり金銭的にも余裕はなかったですね。大学生にもう一度なれるのであれば、海外旅行をたくさんします。

学生時代に一番頑張ったことは卒業研究です。自分の研究は「栃木県足尾町の約100年分の街の地図を集めて、土地利用の変遷を見る」というものでした。その時にまちづくりや都市計画のことを学んだことが今となっても活かせています。

大学生の時に取り組んだ卒業研究が、今の活動にも繋がるきっかけとなったと話す上神田さん

国見町でまちづくりを始めるまで

まちづくりや都市計画との出会いは?また、興味を持つようになったきっかけは?

大学2か3年生の時に選んだ専門コースの必修授業に「都市計画」の授業がありました。その時に、都市計画というものを知りました。

都市計画に興味を持つようになったきっかけは、小さい頃から旅行先などで登った展望台から街を眺めては「この街は、どんな風にできているのだろう」と思うことがあって、それが紐づいたのかもしれません。

大学卒業後の進路は?

東京都庁に進路一本で進みました。当時は、まちづくりのことを仕事にしたいと思っていたのでまちづくりのことをやっている行政の道を進みたいと思って選びました。

でも、社会人になってみたら全然違いました(笑)

まちづくりをやりたいと思って入った都庁でしたが、実際に配属された部署は全然違う土木系の部署でした。異動希望を出す中で、どこかのタイミングで希望が通るとは思っていたのですがまちづくりに携わることができず7年勤めました。

ですが、公務員だったので土日休みを使い自分なりに街の研究や活動ができていたので、それはよかったです。

自分なりにした研究や活動を教えてください

都庁に入った後も、まちづくりへの想いが変わらずあったので、学生の時から行っていた栃木県・足尾町の研究と当時の勤め先の東京・蔵前の研究を行っていました。研究は、まちづくりについてです。

具体的な活動は、栃木県の足尾町では、小さい芸術祭に研究者枠のような形で参加させていただき、そこで当時研究していた資料を絵本にして販売をしていました。

東京・蔵前では、まちづくりについての独自研究をしました。全然知り合いのいない東京の街で、おもしろそうな店を見つけては入り、家に帰ってから店のホームページを見つけてメールをしました。意外と半分くらい返信を貰えました(笑)そして、街の取材をして冊子にまとめました。それは当時、企画・運営していた東京都美術館の仲間と共有していました。

国見町に暮らす一人一人の想いが灯る場「アカリ」

福島へJターン

移住することになったきっかけとその時の心境を教えてください

結婚を機に奥さんの実家の建設会社を継ぐために福島に来ました。

仕事を辞めることにはまったく抵抗はありませんでした。福島に来ることに関しても、当時は東日本大震災後で福島の情報が東京にも流れてきていて、福島市の薮内さんたちの取り組みを知る機会があり、勝手にですがその存在は大きく、福島に行ってもおもしろいことができるだろうなと思っていました。

福島に来るときにまちづくりでやろうと考えていたことはありますか?

使っていない不動産の活用みたいなことはやろうと決めてきました。ずっとチャンスを感じていました。

あと、福島に来る前に東京で通っていた「リノベーションまちづくり」のスクールの団体が偶然にも福島・国見町で同じような事業をしたいという話があり、それをきっかけに現在の「株式会社家守舎桃ノ音」を設立しました。

株式会社家守舎桃ノ音

設立:2018年

2018年10月には、倉庫(現:アカリ)前にある公園を使った「空想マルシェ」というイベントを開催。空想マルシェでは「みんなの空想でつくる、暮らしたいまちの姿」をコンセプトに福島市内外の飲食店や雑貨店が出店することで、まちに住む人の理想が一日限定で実現させた。

同年12月からは、元縫製工場だった場所を活用した複合施設「Co-Learning Spaceアカリ」を作るためクラウドファンディングで資金調達を開始、翌年の2019年10月にオープンする。今では、飲食店・コワーキングスペース、シェアオフィスを併設した複合施設として国見町から1人1人の「想い」がアカリに灯されている。

▶空想マルシェについて
▶Co-Learning Spaceアカリについて

様々な取り組みをする中で苦労したことはありますか?

1番苦労したのは、メンバー集めですね。一緒にやる人を人口8,500人の中から見つけるのは至難の業ですよね。でも、体当たりでメールすることには東京にいる時から慣れていたのでなんとかなりましたね(笑)

反響としては、最初に多かったのは「国見町でやってもうまくいかないよ」と言われることが多かったですね。でも、そういってきた人たちはたくさん集客しなきゃ商売として成り立たないと思っている人たちだったと思います。でも、私たちは“人が来なくても成り立つ事業”としてやっていたので、結果で示すしかないと思っていましたし、できる自信もありました。

その結果、2階にあるシェアオフィスは満室に1階のシチリア料理店にも人が入り続け運営としては狙い通り順調にいっています。

中高生が勉強や読書ができるコミュニティスペース
シチリア料理店「Trattoria da Martino」

今後の展望を教えてください

藤田駅前の月決め駐車場のオーナーさんから、駐車場を別の形で利用したいとの相談をきっかけに始まったエコタウン事業を軌道載せることです。

福島に来る前は、建物は極力リノベーションでいいと思っていました。それがもう少し勉強するようになって、今の日本に建っている建物の気密性能や断熱性能が低いことを知った時、今のエネルギー問題を考えると今後リノベーションだけのまちづくりでは根本の改善はできないと思いました。

そして、まちをつくる時のベースの考え方としてエネルギーロスを極力減らして生活を送れるようにしなければならないという考えにたどり着きました。

駅前のエコタウン事業は、その成功例として今後はエコタウンを拡大できたらいいなと考えています。

「エコタウン」建設予定地

YOUNiiiiQの読者にひと言お願いします

「面白い大人と出会えるように、体験ができるように行動すること」

自分は田舎の出身だったので、文化施設もなく文化的体験や面白い人との出会いもありませんでした。そうすると就職や選択をしなければならない時に選択の幅がかなり狭くなってしまうと思います。

なので、できるだけ面白い大人と出会える・体験ができる場所に出向くことがいいのではないかなと思います。

私にお手伝いできることとして、まちに関すること(設計・計画・企画・プロモーションなど)はぜひ聞いてください。

プロフィール

名前上神田 健太
生年月日1986/6/21 (36歳)
出身岩手県普代村 (普代村)  
趣味キャンプ
経歴普代中学校→盛岡第一高校→宇都宮大学→東京都庁 →株式会社渡辺建設・株式会社家守舎桃ノ音 (←現在)

アカリ公式Webサイト

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