セレクトショップ「kawl.」/ 鈴木翔太郎
変わっていく福島と共に
私も変わった
福島で年を重ね
結婚し、母になった
母になってから過ごす福島は
また違う景色に見えて
小さな手と共に歩く福島は
不思議と全部が新しく見えた
この子にとって初めてみる景色であるように
知らなかった場所も
いつの間にかなくなっていた場所も
この子が教えてくれた
私が家族で過ごしたアパート
夏休みを過ごしたおばあちゃんち
田植えや稲刈りを教わった田んぼ
通学していた飯坂電車
学校の前にある弁当屋
友達と夜まで過ごした公園
まだある福島を
今度は私が教えてあげたい
変わっていく福島も
変わらない福島も
両方あって良いと思う
誰かの思い出
誰かの行く末であるように
そんな福島でこれからも
この子と、家族と、過ごしていきたい
この子にとっても
帰ってくる場所が福島でありますように
心からそう思える
あたたかい場所が
この福島です
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この話をいただいた時 何を書こうか悩みました。
夫と共に営んでいるカルムコーヒーのこと
自分自身がそこに至るまでのこと
福島のお気に入りのカフェのこと…
なんせ生まれてから今まで この地で過ごしてきたので
私にとっての福島だなんて
この 1 ページじゃ到底書ききれなくて。
そんな時ふと、 今の私が一番大切にしていること、
書きたいことは何かなって。
真っ先に浮かぶのは
やっぱり子どものことでした。
母になってからは、自分の時間よりも
子どもと過ごす時間、家族で過ごす時間が
何よりも大切な時間になっていました。
母である前にひとりの女性なんだから
自分の時間も大切にしてね、
なんて優しい言葉をたくさん頂くけれど
自ずと全てのことを子どもに繋げてしまうし
頭の中は常に子どものことでいっぱい。
きっとあっという間に手を離れていってしまう
そんな存在だから、
成長の一瞬一瞬を逃すまいと
目に焼き付けながら過ごしています。
1 秒でも長く一緒にいたい!
なーんて思いながらも
もちろん人間なので
イライラすることもありますが。
そんな中で
休日にどこかへ行くとなると
子どもが楽しめる場所、
子どもが過ごしやすい場所を考えて調べて、
行くようになりました。
例えば食事ひとつとるにしても、
おむつ台はある?子ども用の椅子は?
子どもが食べれるメニューは?
ファミレス以外なかなかないですよね。
もしくはテイクアウトして、
場所を変えて食事をとるしかないのです。
だからこれからは
施設や遊び場に限らず、
家族で気兼ねなく
安心して楽しく過ごせる場所が
福島にも増えていってくれたらいいなぁ
と思っています。
もちろん私たち夫婦が営んでいるお店も
そのひとつで。
今の場所は
子どもへの設備が整っている?
と聞かれたらそうではないし、
それでもお子さんを連れて来てくださる
お客さんはたくさんいます。
(いつもとても癒されています。)
だからコーヒーを飲むときくらい
お父さんもお母さんも
ホッと一息つける場所、
大人も子どももみんなウェルカムです!と
胸を張って言えるような
そんな場所にいつかはしたいと思っています。
これはほんの一部にしかすぎないけれど
あれもこれも、母にならなかったら、
子どもがいなかったら気付けなかった。
子どもがいてくれたから
いつも見ていた景色がまた違って見えた。
変わっていく福島も
変わらない福島もあって良い。
だけど変わるからにはより良い福島に。
年齢問わず、みんなが過ごしやすい福島に。
願うだけでは叶わないので
私もその一員として
これからも携わっていきたいと思っています。
母として、お店を営む者として
今思っていることを
そのまま書かせていただきました。
そして最後に。
この記事が、
大人が子どもに自然と目を向けて
見守られながらのびのびと育っていける
街づくりのきっかけになれたら嬉しいです。
事件も事故もない、平和で明るい街に。
この子にとって、あの子にとって、
帰ってくる場所が福島でありますように
もう一度、願いを込めて。