学校の教室のような古着屋をつくる 松下遥希さん【Youth Finder】
昔から路地が好きだった。この路地はどこにつながるのだろう、この路地の先には何があるのだろう。『ねじまき鳥クロニクル』にも路地が出てくるが、そこに迷い込んだ猫の気持ちは理解できるような気がする。
喜平
福島市の街中で、こんなところにこんなお店が!と発見して嬉しい気持ちにさせてくれるお店「喜平」北町にある「和菓子処 松屋清風庵」の前を東に向かい、「北町丹治医院」の角を曲がって小さな路地に入るとすぐ右手に見えてくる。入り口が民家に見えないこともないから入るのに躊躇を覚えるが、小さく慎ましいアクリルの看板があり、暖簾もでているからお店に間違いない。看板には屋号と「ソースかつ丼」の文字が。ソースかつ丼は会津の専売特許だと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
中は看板と同様に慎ましい。小さなカウンターに椅子が4脚。お母さんがお一人でやっている店内は、清潔でさっぱりとした感じがする。
メニューは2種類。「ソースかつ丼」と「煮込みかつ丼」。潔い。
椅子に座ると温かいほうじ茶が出てくるが、夏の暑い日には「麦茶にしますか?」と冷たい麦茶を出してくれた。その気遣いが嬉しい。2種類のメニューでいつも迷った末に「ソースかつ丼」を選ぶ。注文を受けてから、かつが揚げられる。カウンターの奥がすぐ厨房になっていて、お母さんが調理をする雰囲気が伝わってくる。
白いご飯の上にキャベツ、そして揚げた後にソースにくぐらせたかつが3切れ。お味噌汁とお手製のお新香が付く。甘辛いソースはさっぱりとしていてくどくない。ソースのくどさが苦手な人でも、十分に堪能できるはずだ。お新香、お味噌汁をそれぞれ味わう。かつから滴るソースがキャベツとご飯にも染みかかり、ちょうどよい加減で丼を食べ終えることができる。
毎回本当に、ちょうどだ。ソースが足りないのを心配する必要が無い、お見事。
路地にひっそりと佇むお店を見つけただけでも嬉しいのに、こんなに美味しいソースかつ丼をいただくことができる。至福だ。次は煮込みかつを注文してみよう。
先日は電話でテイクアウトの注文が入っていた。4つ。確かに、店内の席を考えれば、4人はテイクアウトが正解かもしれない。なるほど、そういう楽しみ方もできるのか。歩いて行くことが多いが、隣の北町駐車場に車を置くこともできる。
おひとり様のサラリーマンと一緒になったり、お休みの日のお昼を食べに来たと思しき年配の紳士と一緒になったり。
自分同様一人で来るお客さんが多いようだ。誰かに教えたいような、秘密にしたいような、そんな不思議なお店だ。
INFORMATION
喜平
営業時間:11:00-14:00
定休日:日・祝日